比嘉周作　ほろほろ写真館　　

朝起きて、まずは空を見上げるのが、僕の癖だ。

今日は少し曇ってる。

天気を調べるのは、自分のためではない。



大切な２人のために。



参列するお客様のために、天候を気にする。

２人の資料を確認する。
打ち合わせで聴いた馴れ初めが書いてある。

２人が出逢い
恋に落ち
今日を迎えるまでのストーリーを読む。
２人にとっての今日は、


どれだけ素晴らしく、


どれだけの不安が詰まっているのだろうか。


輝く笑顔と、幸せな涙が溢れる１日にしつあげたい。



その決意を胸に、
僕はネクタイとシャツ、スーツをセレクトしてウチを出た。

お気に入りの曲を全開にして、高速を飛ばしながらブライダル会場に向かう。




太陽が出てきた。



２人のための、この日を必ず最高にできると確信する瞬間。

太陽ありがとう！


時間をかけてこの日のために一生懸命準備をしてきた２人。

ドキドキと不安で迎える当日の挙式と披露宴。


２人の緊張した表情。


挙式の手順は？

誓いの言葉は？

そういえば髪型は？

ブーケは？

歩く手順は？

みんなはちゃんと来てる？

全てが不安で、わからないことばかり。
神聖な挙式はゆっくりと進んでいく。

牧師さんが２人に質問する。

「誓いますか？」





「はい、誓います」


あの涙は、喜びの涙なのかな。みんなへの感謝の涙なのかな。

この瞬間のために２人は出逢ったのかな。

誓いのキスをする時の花嫁のあの視線。
あの表情。


２人が交わす視線を見れば分かる。


ああ、君たちは本当に相思相愛なんだね。



誰もが、
２人の誓いのキスに胸を打たれる。




ここまでよく頑張りました。

次はいよいよ披露宴だね。

休む間もなく会場に向かう２人。


よくここまでたどり着きました。

もう大丈夫だよ。


僕は扉へ向かう２人の後ろ姿に気持ちを送り、先に会場に入ってスタンバイする。


それから僕は軽く伸びをして、
柔軟して、
深呼吸をする。

ここまで来たらもう大丈夫だよ。


その扉が開けば、たくさんの祝福の拍手が君たちを迎える。

僕も幸せになる瞬間なんだ。

君たちの幸せはみんなの幸せなんだよ？

幸せをありがとう。

後は僕に任せてね。
さて、


いっちょやりますか？

比嘉周作の本領発揮だぜ？


Ｎｏｗ Ｓｈｏｗ ｔｉｍｅ！


僕はマイクのスイッチを入れて


お客様に一礼して


自信に溢れて顔を上げ



会場をゆっくりと見渡す。


後は任せな。




今日という日を



寄り添う２人のために。


「ただ今より、新郎新婦、入場です！」