比嘉周作　ほろほろ写真館　　

たまに絵を描きます。風景画ですが。
これが落書き以下の酷い代物で、書き終えるたびに絶望して、「もう二度と筆を手に取らない」などと、いっぱしの芸術家を気取って断筆宣言しています（笑）。
芸術の秋といわれていますが、目をそらし、いじける毎日です（笑）。

我々は日々、数え切れないほど、無数の思考を我々は生み出しています。
浮かんで、
消える。
感情や判断力に影響を与えることはあっても、思考自体は消えて無くなります。

それを形あるものに留めようとし、
文字や絵や曲や数式で表現する行為。それが芸術、でしょうか。
自分の頭の中で生まれたものを、形のないものを表現する。それは楽しかったり、苦しかったりします。
しかも、アウトプットするときに、思考の本質から遠ざかり、むしろいびつな形となってしまうことが多々あります。
この文章もそうですね（笑）。
書き始めるときに確かにあった「思考」が、全く違う形となってしまっています。
そして、文章として残そうと思ったあの思考はすでに消え去って、もう、二度と戻りません。

こうして、手のひらからすべてがこぼれ落ちるのを眺めるのが人生なのかなと、ふと思います。
掴んだつもりでも、手のひらを広げると、何も残っていない。
何かを掴んだ、という感触だけが皮膚をくすぐり、それすら、やがて消えてしまう。
忘れてしまう。

それが虚しいのか、といわれると、実はそれほどでもありません。
だからこそ尊いのだ、と、そういう風に感じます。

多くの芸術に触れて、その表現手段を吸収したいな、とは思いますが、
表面だけを真似しても意味がないしなあ…と途方に暮れる。
僕にとっての芸術の秋は、いつもこんな感じで、ため息をついています（笑）。